神経芽腫(神経芽細胞腫)・症状・検査・治療

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神経芽腫(神経芽細胞腫)の病態・症状・検査・診断・治療・予後



     §1 神経芽腫(神経芽細胞腫)


     神経芽腫(神経芽細胞腫)は乳幼児の、腹部、縦隔、まれに頭蓋内や頸部の神経組織から発生する腫瘍で悪性度

     が高く、小児性悪性腫瘍の約20%を占めるウェイトの高い癌です。神経稜より神経芽細胞、神経節芽細胞、神経節

     細胞へ分化して行く過程で、神経芽細胞が腫瘍化したものです。神経芽腫(神経芽細胞腫)は未分化の悪性腫瘍で

     すが、その分化型の神経節腫は良性です。神経節芽腫の場合は部分的には分化像を確認できますが、腫瘍として

     は神経芽腫(神経芽細胞腫)と同等の扱いになります。小児期の癌とはいえ、その15%は成人にも発生しています。







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     §2 神経芽腫(神経芽細胞腫)の病態


     神経芽腫(神経芽細胞腫)は本症の大部分のケースで、尿中にアドレナリン、ノルアドレナリンを排泄する以外に、

     その前駆物質ドーパ、ドーパミン、代謝産物ドパック、ホモバニリン酸、メタネフリン、バニリルマンデル酸を大量

に排泄しています。その排泄は画一的ではあり

ません。神経芽腫(神経芽細胞腫)の場合、腫

瘍中のカテコールアミン濃度は褐色細胞腫に比

して低く、尿中カテコールアミンも代謝産物に

比べてかなり少ないが、これは腫瘍内のカテコ

ールアミンの代謝が速く、生理的に不活性な代

謝産物として血中に放出されるためではないか

と、推定されております。又、神経芽腫(神経

芽細胞腫)の場合には、自然退縮する率も比較

的高いのですが、自然退縮する例と退縮しない

ケースを鑑別する方法がないため、神経芽腫(

神経芽細胞腫)を経過観察する選択肢は現況

ではありません。






     §3 神経芽腫(神経芽細胞腫)の症状


     神経芽腫(神経芽細胞腫)の症状は、発生部位や、転移の有無などにより異なり、極めて多様に発現します。

     神経芽腫(神経芽細胞腫)の症状に特徴的なものは無く、腹部に発生すると腹部膨満やしこりを感じるため、

     診断も直ちに可能とされますが、縦隔に発生するような場合には、初期には無症状のことが多く、腫瘍が増大

     してから、呼吸困難を起こして受診する事態にもなります。脊椎の中にまで腫瘍が食い込んで増大する(鉄

     アレイ型)ものでは、脊椎圧迫症状として筋力低下、麻痺などを伴います。部位に関わらず、所見として多い

     ものは、腹部膨満、四肢疼痛、発熱、貧血、痩せ、眼球突出、全身倦怠感、顔色がすぐれないなどの症状が続く

     事があります。感染症、リウマチ熱、骨髄炎などを疑う時には、注意が必要になります。神経芽腫(神経芽

     細胞腫)は、早くから骨や眼窩に転移し易く、又、皮下溢血をみる事もあります。





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     §4 神経芽腫(神経芽細胞腫)の検査・診断


     神経芽腫(神経芽細胞腫)はカテコールアミンを分泌するが、その代謝産物であるバニリルマンデル酸(バニール

     マンデル酸/VMA)とホモバニリン酸をチェック検出する乳幼児マススクリーニングテストを、6ヶ月の乳幼児を

     対象に行い、受診率も85%と高く、早期発見に貢献しています。VMA陽性ならば、直ちに小児癌専門医のいる

     病院での受診が必要になります。血液検査ではNSE(神経細胞特異酵素/ニューロン特異エノラーゼ))やLDH

     (乳酸脱水素酵素)を調べたり、原発腫瘤の検査には超音波、CT、MRIなどの画像診断を用います。転移巣の

     発見には全身骨X線、I-MIBGシンチグラフィ(アイソトープ)、CT、骨髄穿刺、リンパ節生検などで確認します。








     §5 神経芽腫(神経芽細胞腫)の治療


神経芽腫(神経芽細胞腫)の治療法は、その病期

により異なります。病期T、U期では腫瘍を摘除

し、それのみか、術後2〜3ヶ月後に化学療法を

施します。リンパ節や他の臓器に転移したV、W

期では強力な化学療法が必要になります。病期W-

Sでは巨大な肝腫による呼吸障害が問題となり、

化学療法、放射線療法、手術など緊急に対応する

必要があります。病期の進行例によっては、まず

化学療法を行って、腫瘍の縮小をはかり、残存腫

瘍に対してこれを摘除し、術後更に化学療法を施

します。摘出した腫瘍は癌遺伝子であるN-ミック

遺伝子の増幅の有無を確認し、増幅している場合

は、より強力な造血幹細胞移植も選択されます。



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     §6 神経芽腫(神経芽細胞腫)の予後


     予後は年齢が1歳未満かそれ以上なのか、N-ミック遺伝子が増幅しているか否かにより、大きく左右されます。

     マススクリーニングで発見された様な、1歳以下の病期T、U例ではほぼ100%予後良好ですが、病期W-S例な

     どで新生児、幼若乳児で巨大肝腫があれば、呼吸障害で危険のため緊急対応します。進行癌の場合は、一般的に

     予後不良で、自家骨髄移植や臍帯血肝細胞移植などにより、50%以上の生存率を期待できるようです。乳児後期

     例では予後良好で、病期W-Sの生存率も75%といわれています。病期V、W期例の予後は不良で、病気Wの5年

     生存率は10%程度しか有りません。神経芽腫(神経細胞腫)は、治療により有る程度寛解したと思われても、その後

     再燃し、最終的に治療抵抗例となり、死に至る問題があります。一方では自然退縮例などもあり、検査方法や治療

     など今後の検討課題も多々あります。









     * NSE(neuron specific enolase)/NSEは神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、甲状腺髄様癌、肺小細胞癌など

     の神経内分泌系腫瘍で大量に産生されるため、これらの癌の診断や、治療経過の把握のために有用です。








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